気弱で成功した投資家 フィリップ・フィッシャーの15原則

 

気弱で周囲と打ち解けるのが苦手だったフィリップ・フィッシャー。そんな気弱な彼が投資家として成功し、あのウォーレン・バフェットにも大きな影響を与えたと言います。

 

成功した投資家としてあまりにも有名なウォーレン・バフェットが師とも仰いだフィリップ・フィッシャーとは、どのような手法で成功を収めたのでしょうか。

フィッシャーが投資対象を選び出すときのポイントをまとめました。

 

成長銘柄を選び出す フィッシャーの15原則

 

1.利益を生み出す柱はあるか

 

少なくとも今後5年間は業績を大きく伸ばす製品やサービスを持っているか

 

2.業績をけん引する次の一手を打っているか

 

現在収益をけん引している製品サービスが永久に成長し続けることありません。そのため企業は次なる業績拡大のための新製品や新サービスを常に模索構築する必要があります。その一手を準備しているかどうかを調査します。

 

3.研究開発の費用対効果は充分か

 

研究開発に力を入れることは企業を成長させる上で必須です。しかしそれにかけた費用と業績への貢献度がセットになっていなければそれが成功したとは言えません。

 

4.営業網と営業部門の体制は優れているか

 

企業の売上高に直接的に影響を及ぼす営業部門。その販売網と営業体制が業界他社と比べて優れているかはとても重要です。少なくとも平均以上であるかどうかは調査しておく必要があります。

 

5.利益率は高いか

 

利益率が高いということは、その商品やサービスが市場から求められており、競合する企業が少ないつまり優位性があることの証明とも言えます。また利益率が高い企業は、次なる一手も打ちやすいため、相乗効果で成長のエンジンがかかりやすい状態にあります。

 

6.利益率向上への取り組みはあるか

 

上記5.でも述べたとおり、企業は利益率を向上させる取り組みが重要です。

 

7.労使関係は良好か

 

健全な労使関係の構築に努めることは、働く社員の士気や会社への愛着を高め、業績の押し上げにも繋がります。

 

8.幹部社員が能力を発揮できる環境か

 

幹部社員が脳力を発揮できる環境にあること、管理職の能力が充分引き出される体制にあるかどうかは企業業績に影響します。

 

9.優秀な人材が揃っているか

 

特に幹部社員に優秀な人材が揃っているかは業績への影響も大きくなります。

 

10.財務分析を重視しているか

 

企業がコスト分析や財務分析を重要視しているかどうかは、フィッシャーのみならず、バフェットの直接的な師グレアムも最重要視していたと言います。

 

 

11.他社に優る特徴があるか

 

競合他社に優る特徴、独自の技術やノウハウを持っているかどうかを見ます。

 

12.中期と長期の収益見通しを立てているか

 

企業の収益見通しは、短中期な見通しと長期的な見通しの両方ができていなければなりません。

 

13.増資の可能性はないか

 

増資などの、既存株主の利益を損なう行為を行う可能性のある企業ではないかをチェックします。

 

14.問題発生時の経営者の行動は適切か

 

何か問題発生した際に、経営者が積極的に説明をしているかどうかを見ます。

 

15.経営者は誠実か

 

経営者が誠実かどうかは企業の成長にも関わり、投資家にも直接関係してくる重要なチェックポイントになります。

 

 

この15原則が全て揃った企業を見つけ出すのはなかなか難しいですが、知っていれば負けない投資に繋がり、成功の可能性が高くなるという意味において役に立つ原則ではないでしょうか。フィッシャーは株の買いを入れるタイミングについても言及しています。

 

フィッシャーの買いのタイミング

フィッシャーは株を買うときのタイミングとして、何かの原因で一時的に株価が下落している時期を上げています。

 

たとえば、新規事業が軌道に乗る前の試行錯誤をしている時期です。事業が軌道に乗る前ですから、それが企業業績を圧迫しその時点での業績はかんばしくありません。しかし今後新規事業が業績に寄与して伸びてくることが考えられます。このような場合、現時点の株価、目先の業績不振による株価低迷は、フィッシャーにとって絶好の買い場だと言えます。

 

 

ウォーレン・バフェットを作ったグレアムとフィッシャー

ウォーレン・バフェットは、自らをグレアムから85%、フィッシャーから15%の影響を受けたと言っています。

そしてそのとおり彼の投資手法には、グレアムとフィッシャー2人の投資に対する考え方が色濃く反映されています。この別々の師は、投資に対する考え方において共通する部分が数多くあります。

このことからも、ウォーレン・バフェットが成功したことと、2人の成功した師の共通した考えは、偶然とは言い難いように思います。

 

そこで、バフェットが75%の影響を受けたというグレアムについても少し触れておきます。

 

ベンジャミン・グレアムの成功する投資の考え方

ベンジャミン・グレアムの投資に対する考え方は、大きく次の3つに集約されます。

 

1.投資家は、会社の財務状況を分析することに時間を費やすべき。

グレアムは、テクニカルなチャート分析などではなく、会社の財務状況の分析に時間を費やすべきだと言っています。私たちはともすればとっかかりやすいチャート分析から入りがちです。そして財務状況を深く分析するというようなことをやっている人が少ないことも知っています。長期的に成功し続ける投資家が少ない原因はそのあたりにあるのかも知れません。

 

2.投資家は、市場に参加することではなく、市場の愚かさから利益を得るべき。

「市場に参加」とは、株価の上下の勢いや表面的なニュース、市場の雰囲気によって右往左往するかのごとき投資行動をさし、むしろその愚かさを利用して利益を取るべきと言っています。

 

3.投資家は、市場がしばしば行う実態と乖離した言動に対して気を取られるよりも、現実世界の会社のパフォーマンスに注目し、割安な株式を取得することに集中するほうが良い。

このことはテクニカルな投資、チャート分析による投資をしている方はすぐに理解できる内容ではないでしょうか。日々株価を見ていると、実際の企業の実態とはかけ離れた株価を付けることがあります。グレアムは、その株価の異様な上昇下落に気を取られるよりも、実際の会社の成長性に注目して割安であれば買う、つまり地に足の着いた投資法に集中するほうがいいということを言っています。

 

グレアムは、会社の財務状態の分析なしに、価格が高騰しているという理由だけで株式の取得を勧める人間に批判的だったと言われています。

また、グレアムがチャート分析をしない投資家だったことは、上の3つの考え方からも想像に難くないと思います。チャート分析による売買は、目先の損だ得だということに目を奪われてしまいます。そしてその方法では長期的に勝ち続けることは難しいことを知っていたのでしょう。

 

一方、ファンダメンタルズ分析(財務状況や利益率と将来性など会社の実態を分析)による投資は、その株式が本来持っている価値を正確に見極めることができるならば、そしてそれによって株式を入手したり手放したりするならば、失敗はしないし、一時的な株価の上下に左右される必要もありません。

チャート分析による「安い」「高い」という表現は、企業の実態を置き去りにして高いか安いかを言いますが、グレアムの言う「安い」「高い」は、企業の本質的価値に対して株価が「安い」ときに買い、企業の本質的価値に対して株価が「高い」ときに売る、という本来株式の持つ根本原理に逆らわない考え方です。

 

 

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